中舌母音(または舌先母音)
琉球語全体に見られる特徴としてエ列音がイ列に、オ列音がウ列に変化している(母音「ア - イ - ウ - エ - オ」が「ア - イ - ウ -
イ -
ウ」。よって、米[kome] が クミ[kumi], 時[toki] が トゥキ[tuki]となる)。
さらに、奄美方言及び宮古・八重山方言では中舌母音[ï]というものが存在する。
奄美方言では、エ列音がイ列にならず中舌母音[ï](イとエの中間のような音)になっているとされる。一方、宮古・八重山方言では、エ列音はイ列に変化し、同化を避けるようにもともとのイ段音が中舌母音[ï]に変化している。
従来、「中舌母音」という言葉は、奄美方言のものも宮古・八重山方言のものも両方を指していた。
しかし、それぞれの方言圏で由来(変化前の母音)が異なっている。そのために厳密には調音(おとのつくり、発音)も違うのではないか、ということで、最近の論文では宮古・八重山方言のものについては「舌先母音」という言い方を主張するものを見かける。
実際、宮古方言を聞いているとそれは[ï](イとエの中間のような音)という感じより、もっと呼気の摩擦が強く、[s]または[z]に近い音である。そのため「
成節子音」として扱われることもある。
2006年10月22日 初出
2007年03月23日 文章全体を見直し、修正(語弊のある表現をなるべく・・・)
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